「恋も仕事も思いのまま」ヘレン・ガーリー・ブラウン         ーー不安を抱えて強く生きるーー

10代の頃、この本を読んで、40年近くたった今でも(!)時々元気をもらいにページを開いている。
この本には年齢も性別も国籍も関係なく、人は不安や落ち込みを抱えながら日々人生を生き抜いて行かなくてはならない、でもあなたなら大丈夫よ!というヘレンの力強いエールが書かれている。

ヘレン・ガーリー・ブラウンとは?

現在でも多くの国で発行されている、「コスモポリタン」というアメリカの雑誌の編集長を32年間務めた女性だ。
彼女が上を目指してがんばっている女性達にエールとアドバイスを綴った本が「Having it all」で、1983年に日本で「恋も仕事も思いのまま」という題名で翻訳された。

貧しい生まれで学歴もなく自称不美人だった女性が、アメリカの大企業のトップに登り詰め、私生活でも映画の名作「スティング」や「ジョーズ」の大物プロデューサーと結婚。
その成功の秘訣をお金の貯め方、整形手術からセックスまで本当にあらゆることを赤裸々にアドバイスしているのだ。

当時は女性がセックスに関して発言することがタブーだった時代なため、「コスモポリタン」という雑誌もそういった面が「新しい時代」として脚光をあびることとなった。

でも40年近くたっても尚、心を打つのは、そういった当時挑戦的だった内容ではなく、大企業のトップも一般の私達と同じように落ちこんだり、傷ついたりしながらも毎日戦っている姿だ。

人生の挑戦のうち、半分は何かを成しとげ、成功すること、あとの半分はやる気を失わせる暗雲と闘うことだとわたしは思います。わたしはいつもそんな落込みに取りつかれてきました。・・・・・
いまでもまだ、土曜日のたそがれどき、居間の長椅子の上で毛布にくるまったまま、沈む夕日を見つめていることがあります。わたしは寂しくて、だけどその寂しさは友だちに電話をして引きずり出し、わたしを子守りしにきてもらうようなものじゃなくて、心の底からの寂寥感なのです。・・・・・
もう少しコーヒーを飲んだり、クラム・ケーキをがつがつ食べたり、新聞がなければ雑紙を読んでいるだけ。しかももう読んだのに、ほかがないからしかたなくもう一度読み返したりして、ひたすら待っているのですーーー
この憂うつか、自分自身に終わりのときがくることを。

「恋も仕事も思いのまま」より抜粋

また、繊細な彼女は色々なことにも傷ついてしまう。

”どうも波長があわない”と思う相手が、いつも買物にいく店の人だったりすることがあります。店員相手にもじもじするなんてばかばかしいけど、現にそうなのだからしかたがないわね。
小さな店にパンティストッキングを買いに入ると、3人の売り子がおしゃべりに興じているところで、邪魔が入ったとばかりにあなたをにらみつけ、つんけん応対する、そんな経験あるでしょう?これでは波長があわなくて当然、それよりありとあらゆる人に気に入られようなんて無駄な努力はやめることです。用事をすませて、さっさと立ち去りましょう。

「恋も仕事も思いのまま」より抜粋

映画の「プラダを着た悪魔」の編集長とはあまりに違う!いや、内面は誰でも色々な問題をかかえているのかもしれないが・・・
でも彼女は「ものごとを深く感じるから深刻に考えすぎてしまうけれど、他人の気持ちがわかるから、すばらしい友人や恋人になれる・・」と語り、「ときには苦いよそ者意識を味わわなくてはならないときもあるでしょう。そのときはグザリと突き刺さるけど、それで死ぬことはないから大丈夫です。」と続けている。


そして、強く生き抜く方法は、アクションと自己鍛錬だ、と繰り返し読者を鼓舞する。
鬱々とした朝も、自分で課した運動をこなし、健康の為に考え抜いた朝食(たった80カロリー)をすすり、練習を積んだメイクをし、大好きな服を着て、恐れおののきながらも気のめいるような雑用を全部すませてしまう。やり遂げた彼女は気分爽快で、誇らしさでいっぱいになる。そういった毎日を繰り返していくのだ。

また、健康も鍛錬によって得られる部分もある、と説き、
「程良く節食して(塩抜き、砂糖抜き、でんぷん最小限)、1日1時間の運動、ビタミン剤をのみ、禁酒、禁煙、カフェイン抜き、薬抜きを厳守して、元気よくいようという強い意志を持っていれば、あなたの人生はまるっきりちがうものになります」(これはかなりハードルが高い!)
と断言している。確かに彼女は愛する夫が亡くなった2年後、90歳で亡くなるまで元気に活動し、「80歳以上の影響力のあるアメリカ人」にも選ばれている。

 こんなふうに落込みと闘うことの強味は、だれの援助も借りずにすむことです。すべてはあなたひとりの手の内にあるのだから。わたしはいつも自分にこういいきかせてきたような気がするの。わたしは人並みはずれてすばしこくもなければ頭脳明晰でもなく、若く美しく才能に恵まれてもいないかもしれない。
 でも、自己鍛錬という点ではぜったいにだれにも負けない自信がある!これだけはわたしの天下よ!・・・
自己鍛錬とは?ただその日にしなければならないことを確実にかたづけて、もし不安におののいているあなたならそのうえにもう少しだけがんばってみる、それだけです。

「恋も仕事も思いのまま」より抜粋

ヘレンが61歳の時に書かれた本ということで、隅々まで後輩の女性達への暖かいエールが詰まっている本当にステキな本だ。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる